乱読家ですが、何か?

読書メーターで書ききれないことを残すためのブログです。

fishy の検索結果:

#154 諦めない女  桂望実著

母親はこうあるべきという呪縛の強さというのは、他の小説を読んでいても感じることがあるし、実社会でもまだまだこの種の幻想が蔓延していると思うことがよくある。 『坂の途中の家』(角田光代著)の里沙子も、「母親なんだから」というプレッシャーに苦しんでいた。 本書の母親(京子)は、里沙子とは違う形――母親として娘を「諦めない」という方向――で突っ走り、けれど同じように苦しそうだ。 「先生までそんな……あの子は生きています。現実から目を逸らしているんじゃありません。逃げていません。あの…

#153 白  芥川龍之介著 

…かった。 他にも、『fishy』(金原ひとみ著)では、不倫ってそんなに悪いこと? と首を傾げ、『コンビニ人間』(村田沙耶香著)では「普通」とされるコンビニの人や古倉さんの同級生(健全な市民)の方が余程気持ち悪いと感じた。 『砂の女』(安部公房著)で言えば、安定的なソトの世界より砂掻きの日々の方が案外いいのではないかとか、『人魚のひいさま』(アンデルセン著)の王子はただのチャラ男だとか。 挙げ出したらきりがないくらいのひねくれ者じゃないかと、我ながら呆れる。 でも、法律的なこと…

#148 fishy  金原ひとみ著

…澱こそがタイトルの『fishy』(胡散臭い・生臭い)というわけか。 ここで、友人とのメールのやり取りの中に、「友達と話していてムカついてしまった」という話があったのを思い出す。 私はその友達の友達という人を知らないので、安直に「それはムカつくね!」と同意することはせず、自分がその人側だったらどうだろうか、また友人側だったらどうだろうかと、あれこれ考えた。 そこから、「人を嫌うのは良くないという刷り込みがあるからそういう感情が芽生えたのでは?」「いや、むしろもっと嫌いになりたい…