乱読家ですが、何か?

読書メーターで書ききれないことを残すためのブログです。

2024-01-01から1年間の記事一覧

#167 乱歩氏の諸作/日本の近代的探偵小説ー特に江戸川乱歩氏に就てー  平林初之輔著

私は今怒っている。 頭のてっぺんからプンプン音がしそうなくらい、怒っている。 なぜならこの平林某が、私の敬愛する江戸川乱歩大先生を批判しているからだ。 江戸川乱歩といえば、私の読書歴において絶対に外すことのできない、人生を変えられたと言っても…

#166 夫婦茶碗  町田康著

愛すべき屑男を書いた名作。 屑とはなんぞや。定義は人それぞれ。 所謂「飲む打つ買う」がその典型ではあるが、この小説の主人公はまあとにかく働かない屑。 しばらく働いたとしても、すぐ辞める。即ち生活力に欠ける屑。 なのに憎めない、むしろ可愛いいと…

#165 ユーチューバー  村上龍著

村上龍の最新刊となったら入手必須。しかも紙の本で。 とはいえ、そうタイミングよく古本屋にあるかどうかは運次第。 過剰に期待しないようダメ元ぐらいに気持ちを抑え気味で行ったら、黄色い背表紙が新刊コーナーにしっかり並んでいるではないか。 海を越え…

#164 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ  本谷有希子著

『子どものための哲学対話』の感想の最後に書いた、「別の本」がこれ。 この感想をまとめようとしていた時にたまたま観たイチローのインタビュー動画の中に、「自己肯定感の高め方」をテーマとしているものがあった。 インタビュアーの女性が、「どうしたら…

#163 子どものための哲学対話  永井均著

「ペネトレ」という名のおかしな猫と「ぼく」との対話形式で語られているので、まさに「子どものための」という感じになっているものの、実際は、子どもの頭を忘れてしまった大人のための哲学書というところか。 大人でも「なぜ?」と思うようなことや、思う…

#162 風の歌を聴け  村上春樹著

英国人の友人と読書について話していた時のこと。 彼はインドでこの本を見つけて読み始めたのだけど、つまらな過ぎて途中で投げ出したのだと言った。 お互い村上春樹のいくつかを読んでいて、以前にも村上春樹の作品や著者本人についてあれこれ語り合ったこ…

#161 質問力  齋藤孝著

いわば会話というのは質問と応答、ほぼそれだけで成り立っていると言える。 昨日何してたの? のような軽い問いかけもあれば、死についてどう思うか? などの重いものもある。 自分事や説教じみた持論を一方的に話す場合もあるにせよ、結局その後には「で、…

#160 犬のかたちをしているもの  高瀬隼子著

ミナシロ! お前!! 何度も何度も大声を出したくなった。 理不尽だ。理不尽だ。理不尽だ。 こんな話よく書いたな。 それは、よくぞ書いてくれたという意味でもあって、昨年読んだ本の中で最も感情を揺さぶられた一冊だった。 なのに、だからこそ、なかなか…