2021-01-01から1年間の記事一覧
リベンジポルノあるいは復讐ポルノ(ふくしゅうポルノ)とは、離婚した元配偶者や別れた元交際相手が、相手から拒否されたことの仕返しに、相手の裸の写真や動画など、相手が公開するつもりのない私的な性的画像を無断でネットの掲示板などに公開する行為のこ…
ママ子という未亡人を中心にした5人の手紙のやり取りだけなのに、なんだかドラマを見ているようで、読んでいる間ずっと登場人物たちが鮮やかに脳内で動き回っていた。 恋の駆け引きも、金の無心をする者のしたたかさも、男の下心も、女の狡さも、それぞれの…
私の住んでいるところはコンビニと同じくらい、もしかしたらそれ以上の数のお寺がある。 外を歩けばオレンジ色の袈裟の人に出くわさないことはないし、バスに乗ればシルバーシートはなくても僧侶優先席がある。 托鉢をす るお坊さんの姿も、朝の日常としてよ…
ドラマには、夢があっていいなあ。夢があるドラマって、いいなあ。 エッセイ『夜中の薔薇』を読んだ流れで、アナザーストーリーズという番組、からのこのドラマを観て、改めてそう思った。 アナザーストーリーズでは、“平凡な主婦が隣りの女の情事に刺激さ…
この本もまた、日本にいる友人が送ってくれたもの。 ロックダウンでついに古本屋も一時休業してしまった(今は再開)ので、ありがたみが余計に身に沁みる。 向田邦子さんといえば、“寺内貫太郎一家の脚本を書いた人”であることはそのドラマを観ていなくても…
なんと嘘のない、信用のできるタイトルだろう。 これだけで、内容はともかく良書だと太鼓判を押したくなるくらいだけど、内容もちゃんと良いのだからすごい。 最初の章『西国疾走少女』で、由井の中学時代の回想がはじまると、たちまち私の頭も十代に戻って…
四十肩、老眼、閉経。 この3つが、目下私の個人的な激熱トピックスである。 肩、というより上腕(右腕のみ)に痛みが現れたのは一年ほど前のこと。 はじめは原因不明の筋肉痛のようなものだと思って放っておいたが、これがなかなか治らない。それどころか痛…
2016年に一度読んだ時の感想として、「時々テレビで見る朝井さん(の話すこと)はとても好きなのに、作品とはどうも相性が悪いようで、とくにこれは、10代のアイドルグループに属する女の子という自分とは何の接点も興味もない世界の話なので、感情移入がま…
友人が「同時に嫌な話だなとも思った。」と感想を書いていて、どれどれと思い読んでみた。 主人公の喜助は、重い罪を犯し島流し(遠島)にされる。 彼は、これから始まる囚われの生活を思って打ちひしがれるわけでもなく、むしろ今まで送ってきた苦しい生活…
私は超氷河期と呼ばれる時代に就職活動をした世代。 例に漏れずリクルートスーツを纏い髪を黒くし、自分を大きく見せる、少なくとも真面目で清潔で害のない人間であることを示し是非御社にとハキハキ喋る自分自身に強烈な違和感と不快感があって、面接直後に…
天才か! 初めて読む著者の、タイトルだけでずっと気になっていたこの本をようやく手にして思うのは、時空とか記憶をぐにゃりと歪めてくるような物語を書けるのは、星の数ほどいる小説家の中でも限られたごくわずかな人だけが持つ才能だということ。 私は、…
思い返せばこの数年の間、慢性的な鬱状態が続いていた。 心の不調がイコール鬱ではないし、すぐに「鬱だ鬱だ」と診断する医者、あるいは自称する人は危険だし信用できない。 と、基本的にはそう思っていたのだけれど、鬱“状態”であることは自分でも認めざる…
物語のはじまりはとても大事だ。 漫才でいうところの「つかみ」というやつと同じで、出だしでぐっと引き込まれるか否かでその先ののめり込み方が全然違ってくる。 その観点でいうと、この小説の「つかみ」は最高だと思う。 「ゴッホがなぜ自分の耳を切ったか…
原作は吉本ばななのデビュー作であり一躍有名作品にもなった小説『キッチン』。 リアルタイムで小説は読んだけど内容は全く覚えていなくて、映画も観たと思っていたのにやっぱり記憶はあやふや。 時は80年代後半。 この時代ならではのキッチュなファッショ…
高校生の、男子の、部活の、というだけで自分にはあまりにも遠くまた興味もない世界の話、どれだけ世間で流行ろうが映画化されようが読むことはない、という決めつけのなんと浅はかだったことか。 同世代の同性の友人が「小説も映画も面白かった」と言ってい…
主人公は、刺激に飢えていることに自覚的な中毒者。 この中毒者の話を「耽美だ」「甘美だ」と評する人もいるようだけど、そうなのか? 谷崎が書いたらそうなのか? これが無名の誰かが書いたものだったとしても「耽美」というのか? その頃の私の神経は、刃…
私にとって初めての村上龍は、デビュー作『限りなく透明に近いブルー』ではなく、この『コインロッカー・ベイビーズ』だった。 当時15歳の私がこの本を手に取ったのは、ティーンらしい不純な動機。 その頃追いかけていた大好きなギタリストが意外にも読書…
「言葉は時代的なものである。生きている物だ。生活や感情が直接こもっているものだ。だから、生活や感情によって動きがあり、時代的に変化がある。」と前置いてから、男性語・女性語、そして敬語についての持論を述べている。 私が「本当にそう!」と思った…
先日、元関脇の妻が娘を虐待した(暴行)罪で逮捕された報道を見ていたら、「毒親」という言葉が議題に上がっていた。 体罰は勿論、過干渉や価値観の押し付けなど、とにかく子どもに悪影響を与えることが即ち毒であり、それをする親が毒親といわれるらしい。…
日和子はくすくす笑ってしまう。 このくすくす笑いが作中15回も出てきて(思わず数えた)、私の神経を逆撫でっぱなしだった。 印刷ミスなのではないかと、ありえない疑いを持つくらいの頻度でくすくす笑うのを見るたびに、うんざりした気持ちになる。 日和…
え、え、え、エグい!!! こんなに容赦なくえぐってくる話って、あるだろうか。 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい たのむから、そこは触れないで。そんなに追求してこないで。それは言わないで。そういうところを公衆の面前で晒されるような恥ずかしさ。 拷…
異なる国で同名の小説が存在するのはただの偶然なのか、後に生まれた方(本作でいえば小酒井不木)がインスパイアされて書いたのか。別に調べるほどのことではないけれど、なんだか不思議。 この二作はどちらもタイトルのまんま、ある人物が自殺をする前に書…
この著者の小説を読むのは5年ぶりくらいだろうか。 最後に読んだのが何だったか思い出せないけれど、こんな作風だったっけ? という印象が今回強く残った。 こんな、というのは、ひらがなと読点の多い、大人なのに舌足らずに話す女の人みたいな文体のこと。…
私は平地を歩くのが好きで、散歩は数少ない趣味の一つといってもいい。 知らない道に迷い込んでも敢えて地図は見ず、行き当たりばったりにとにかく歩く。 自然の多いところに限らず、東京でもずいぶん歩いたし、今いる大都市でも目的を持たずにうろうろやっ…
去年の今頃、新型のウィルスが発生して、でも自分には関係のないところの騒動だと思っていたのも束の間、あれよあれよと全世界に広まっていった。 恒例の3月から4月のインド行は当然キャンセル。それどころか普段の生活にまで制限がかかり、仕事にもかなり…
『つんつんブラザーズthe cream of the notes8』を読んではじめて知ったこの著者は工学博士でもあるそうで、専門知識を存分に活かした「理系ミステリー」と呼ばれる小説を多数書いている。 本作の登場人物も工学部の助教授と学生をはじめ、天才プログラマー…
新年早々パンツの話である。 語尾が上がるパンツ(ズボン)ではなく、パンティのパンツである。 そういえば子どもの頃、お正月は必ず新しいパンツで迎えるというのが我が家のならわしだったけど、世間一般ではどうなんでしょう(私はよく馴染んだ二軍で20…